ページ

2022/10/13

懺悔室がそっとお答えします、道ならぬ恋に心を惑わされそうになったらどうするか。

ざっくりと人間の平均寿命を調べたことがあります。そのとき読んだ資料によれば、だいたい82歳とのことでした。82年は日数に換算すると29930日。およそ3万日と覚えておこうと思います。

全ての人に与えられた「残り時間」は限られています。家族のために働く、あるいは共に過ごす時間は限られています。オンラインで居られる時間、遠くの誰かと交流する時間は、もっと限られてきます。そんな中に、様々な迷いや悩みが、私の理解できる範囲の外側にも広がっているのだろうと想像します。眠れない夜なんかに思い浮かべるのはよしましょう。考えが暴れだして、果ては宇宙ヤベエ(?)まで飛躍して、ますます眠れなくなったりするからです。私はだいたいそんな感じです。

で(閑話休題)、生きていれば色々なことがありますよね。あるはずです。
大人になれば、ぴゅあっぴゅあに生きていくことも、難しくなるものです。

ある日、Discordで軽くお話をした程度の知人から、相談を寄せられました。私だけでなく、他方の知見も望まれているようです。ご本人様了承のもと、ここに公開します。

(要約)

  • 成人女性。既婚。配偶者が居るが、他の既婚男性を好きになってしまった。
  • 現在、配偶者の事が好きではなく、一緒に暮らしているのがつらい。
  • 身近には、パートナーのある同年代同性の友人がおらず、誰にも相談できないことがつらい。
  • 現在の配偶者を無理矢理にでも好きになっていかなくてはならないのだろうか。
  • 既婚者は他の人に恋愛感情を持つことがあるのか、あるならその感情とどう向き合っていけば良いのか教えてほしい。笹や、できたら他の、大人の既婚者女性にも尋ねたい。
(ここまで)

彼女の、複雑な胸中を開示する勇気を称賛します。私自身が「大人の既婚者女性」の要件を満たしている自信は全くありません。しかし、どうやら私を筆頭にご指名頂いているようなので、努めて応答を試みます(※この相談への答は、専門知識・資格を持たない一市民によるものです)。

ご自身の感情と向き合い、その正体を見きわめること

相談者はきっと混乱の中にあるだろうな、と思います。爆発的に沸き起こる感情を無理に抑えようとすることも考えられるし、適切でない相手への恋愛感情から自己嫌悪を抱くこともあるでしょう。そういった面で忙しくなっていないか、少し心配です。

私には「身を焦がすような恋」という感覚が今ひとつわかりません(忘れちゃったのかも知れません。パートナーは今も仲良くしてくれています)。ただ、ちょっとした心のときめき、たとえば「目の保養」「心のオアシス」といった感覚は、とてもよくわかります。日常の中に潤いがあるのは良いことです。心の中で楽しんでしまいましょう。それで不思議にゴキゲンな相談者が、現在のパートナーさんとハッピーな気持ちを分かち合えれば平和なのではないかな、と思うのですが…相談文からお見受けするに、難しいでしょうか。

誰か・何かに対して心がときめく現状を理解し、肯定的に捉えることができたら、その想いとの付き合い方を考えましょう。感情のやりようを考えるときは「健康的か、そうでないか」という見きわめが易しいと思います。

もし、パートナーへの不満や仕事・家事・その他個々の事情からくる疲れをいっとき忘れるために恋愛に走る状態だとしたら…厳しいようですが、それは恋でも愛でもありません。現実逃避なのではないかと思います。「障害の多い恋ほど燃える」という言葉を過去に何度も、色々なところで耳にしてきましたが、どうか、それは信じないでください。私はそれを、少女マンガやTVドラマの中だけの話だと考えています。そうであってほしいです。

俯瞰の視点(対岸から自分を眺めるモブの感覚)でご自身を見つめてみてください。翻弄されている、そうなりつつある状態であることに注意してください。


ソロ会議を試みること

これだけ考察を深めてなお、相談者を悩ませる恋だとしたら手強いです。紙とペンで書き出しながらソロ会議を試みましょう。

  • 現在のあなたが大切にしているもの(複数可、多くて結構)
  • それらの多くをぶち壊しにして、築き上げてきたものを投げ出し、「ほぼ何者でもないバツイチのあなた」になってでも飛び込んでいきたい恋なのか?(はい/いいえ)
  • 現在のパートナーは、あなたとの別れ際にペナルティを課すだろう。そのペナルティをあがなう準備はできているか?(はい/いいえ)
  • 想い人は、「かつてパートナーとの過去を持つあなた」の愛を受け入れ、今や「ほぼ何者でもないバツイチのあなた」を受け入れ、そのまま愛するのか?(愛する/愛さない)

却って覚悟が決まったのなら、幸せを祈りましょう。そうでない場合のほうが多いでしょう。それも心配ありません。現実の中にあったのに見落としてきた、小さな幸せの数々を確かめながら生きてください。

恋愛問題に限らず、何かに悩んだ時はぜひ「頭で文章を考え、手で書き出す」ことを取り入れてみてください。SNSで病み状態を嘆くより安全に、他者に心配をかけることなく、問題解決に近づけると思います。


第三者の目を通して「その人」の姿を知ること

また、現在の想い人がどんな人なのか、今一度分析してみることも大切です。想い人のその人は、自分以外の人から、どんな印象を持たれているでしょうか。周囲から信頼される人物でしょうか。第三者からの評判が良い、あるいは悪い理由はどこにあるでしょうか。「首ったけ」の感情を抑え、距離をおいた視点から観察してみましょう。

その人の良いところも、悪いところも、現在のその人をかたちづくったバックグラウンドも、相談者は知る必要があるでしょう。現実逃避に近い形でホの字となった場合、想い人の悪いところを見つけることは非常に難しいはずです。身近な他者から、それとなく評判を聞き出してみることをお勧めします。

想い人の人物像が見えてきた上で、3年後にベタ惚れ状態が終わるかも知れないことを、5年後に家庭を築くかも知れないことを、10年後に老けていく互いのことを、思い浮かべてみてください。具体的、現実的なイメージは想像できるでしょうか。割に合わないと思うなら、夢から醒めるときです。「目の保養」「心のオアシス」…そんな風に楽しみましょう。


大人として、損得を勘定するのはズルいことではありません。また、心の隅で誰かを想い、密かに心ときめかせることも悪ではありません。事例に限らず、自分自身を過剰に追い込むことは避けましょう。周りが見えなくなり、正しい判断が出来なくなる恐れがあるからです。

俯瞰の視点でご自身を見つめ、波打つ感情を飼い慣らし、現実世界を快適にお過ごしください(※この相談への答は、専門知識・資格を持たない一市民によるものです)。


こうしたご相談への正解は一つとは思えないし、逆に一つもないのかも知れません。
他のご意見もぜひ伺ってみたいです。相談者共々、コメントをお待ちしています。